3月8日は国際女性デー
~#EmbraceEquity 公平性を大切にしよう~

3月8日は国際女性デーです。国際女性デーとは、「女性の権利運動を称え、社会参加や地位向上を訴える日」で、グローバルで展開されています。今年は#EmbraceEquity(公平性)がテーマ。

公平性を語るときによく用いられるのがこのイラスト。

平等(Equality)は、同じものを渡すこと、公平(Equity)は同じ結果を提供できるようにすること。平等と公平は同じような言葉に聞こえますが、実際に状況から考えると大きな違いがあることがわかります。

女性が活躍するための公平性とは?

女性の雇用拡大の第一歩は1985年に制定された「男女雇用機会均等法」でした。男女を「平等に」採用しなさいね、という法律です。私はこの雇均法の第一世代なのですが「平等性」をうたったこの法律で、女性の活躍の場は広がったのか?といえば、答えはNOでした。平等ではあっても公平ではなかったから、です。雇均法の第一世代の私たちは、確かに採用や昇進で男女差別はされないようになりました。しかし、結婚しても家事は「女の仕事」とされ、子どもを産んでも育休の整備が追い付かず、男性と同じに昇進するには、結婚もあきらめ、結婚したとしても子どもをあきらめなければ、男性と同様の昇進は手に入らないものでした。当時同期で一番最初に課長職に昇進した女子は未婚でしたし、結婚出産して一番最初に昇進した子は、朝眠っている子どもをそのまま託児所に預け、深夜に時間外保育から眠ってしまった子どもを連れ帰るという生活を余儀なくされていました。保育所も深夜でも預かってくれる民間の託児所を利用する以外に選択肢はありませんでした。「平等」がもたらしたものは、女性へのさらなる負荷でしかなかったのです。

電車の中で座り込んで授乳

私も子ども4人を生みそだて、キャリアを続けてきた一人です。長女のときは保育園にも入れられず、電車で認可外の託児所に預けに行っていました。当時はベビーカーは「危ないから」かならず畳んで電車に乗らなければならなかったし、席を譲ってもらうことなど皆無でした。片手でベビーカーを畳み、ベビーカーと子どもを抱えて電車に乗り、吊革につかまってと大変だったなあと思います。それよりも大変だったのは、子どもが泣き出したとき。0歳の赤ちゃんが泣き出しすと、周囲からは白い目で見られ、あからさまに「なんで通勤電車に赤ん坊乗せてるんだ!」と言われ、「しつけが悪い!」と怒鳴られもしました。人身事故で電車がストップしてしまったときは、仕方なく電車の床に座って授乳したこともあります。その時、近くにいた女性から「みっともない」と唾棄されたのも忘れられません。

女子は頑張った!でもまだまだ・・・

そうした中で、少しずつ家事分担が進み、育児休業制度が整備され、保育所が増え、女性は自分たちの権利を少しずつ広げてきたように思います。まだまだ不十分ですし、進みは遅く、世界のジェンダー指数でもいまだに146か国中116位。およそ世界標準には程遠い状況ですが、それでも着実に私たちを取り巻く環境は改善されてきました。なぜ日本の環境整備がこうも遅いのでしょうか? そもそも男性にとって有利に働くように設計されてきた社会システムを崩していくのは、容易なことではなく、さらに日本人に染みついている思想、文化が女性活躍の道を阻んでいることは言うまでもありません。女性の管理職や、女性政治家を増やすために、一定期間「割付」をするという試みがありますが、これにも強い反対があります。

クオータ(割付)ってどうなのだろう?

一定の割合を女性に割り付けることが、クオータ制と呼ばれるものです。3割の管理職は女性にしよう、政治家の3割は女性にしよう、というものですね。平成30年5月23日に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(平成30年法律第28号)が公布・施行されました。 この法律は、衆議院、参議院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すことなどを基本原則とし、国・地方公共団体の責務や、政党等が所属する男女のそれぞれの公職の候補者の数について目標を定める等、自主的に取り組むよう努めることなどを定めています。 でも、女性政治家の数は全然増えません。この法律に罰則がないこと、努力目標にしかなっていないことも問題です。

優秀な女性は少ない!?

クオータ制の導入について、ある自民党の人気のある代議士に質問したことがあります。すると「優秀な女性が政治の場に出てきてくれることはありがたいが、数を決めるのはいかがなものか。」という答えが返ってきました。「一定の割合を決めてしまうと、優秀ではない方も選ばなくてはならなくなりますから」と。この世の中には半数は男性、半数は女性です。3割を女性に割り付けようとしたときに「優秀ではない女性」を選ばざるを得ない、ということは、優秀な女性は優秀な男性に比べ数的に多くない、ということになります。のこる7割に入ってくる男性のほうが「優秀」で、3割ですら女性には荷が重いということが滲む回答でした。

管理職でも政治家でも、女性の数は圧倒的に少ないです。ですから、ロールモデルとなるような存在も少ない。「女性は優秀とかいうけど、女性政治家でこの人は!というひとはいないじゃないか」という声もよく耳にしますが、国会議員では1割しか女性がいません。絶対数が少ないことそのものを改善するしか、ロールモデルを作ることも、光る存在を見出すことも難しいのです。

平等ではなく公平を

だからこそ、公平性を担保されなければならない。女性の割付の議論も、平等性に欠けるとの指摘を受けますが、公平性の観点からは必要な時限的是正措置だと思います。女子だから優遇されるとすればそれはExcessive(過剰)ですが、少なくとも現状から男女が本来的な意味で平等性を獲得するまでは、ある程度の割付は必要です。

そしていつか、女性だから男性だからといちいち言わなくても済む世の中になってほしいと心から願います。

西村恵美 公式ブログ→
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3月8日は国際女性デー~#EmbraceEquity
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投稿者:

Nishimua-Emi

プロフィール>> 日本三景・松島出身。宮城県第一女子高等学校卒業後東京女子大学へ 在学中に東京大学新聞研究所(現・東京大学大学院社会情報学環)に入学。 民間企業でマーケティング職を歴任し、働きながら中央大学MBAを取得 現在 日産自動車株式会社グローバルマーケットサイエンス部にて情報分析のスペシャリストとして勤務中。シングルマザーとして4人の子育ても。 モットーは「ネアカのびのびへこたれず」

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