わたしの3つの柱

私の中にある3つの「大切にしていること」をお話させてください。
なぜ私が困難だとわかっていてもその道を突き進んでいくのか、それはこの3つの柱ゆえ、なのです。

人は自分と違うものやことを受容しにくいものです。性別の違い、人種の違い、年齢、出身地、職業、いろいろな人の営みは、同時に差別を産んでいます。そもそも差別が生まれる原因は「偏見」があること。自分では意識しない無意識の偏見もあるので、やっかいです。いずれにせよ差別の根源は他者への理解の不足や誤った知識、固定概念ですから、なくせるものでもあるはず。歴史や文化が生み出す差別もありますから、簡単なアプローチで解決できるものでもないでしょう。それでも、差別で苦しむ人がいる限り、私は差別をなくすために戦いたいのです。

SDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」の中にも、すべての人が生まれや性別・宗教に関係なく、平等に生活できることを目指すこと、それは世界全体の課題として取り上げられています。

まずは相互理解を深めること、偏見をなくすために努力していくこと。たとえば年齢や性別にまとわりつく誤った固定概念を崩していくことを愚直に取り組んでまいります。

親と離れて公的な責任のもとで暮らす子どもは、日本全国で42,000人、そのうち児童養護施設や乳児院などで集団生活をしている子どもは36,000人。なんと77%にも及びます。家庭という小さな単位の中で、自分をしっかりと見つめて慈しむ人の中で育つことは、とても大切なこと。日本ではなかなか拡充しない里親制度の見直しや、もっと新しい枠組みを検討することも必要でしょう。

人々の価値観も多様化する中、家族の在り方も少しずつ変化してきています。家族のあり方も変わらなければならないのかもしれません。そしてそれに伴う法整備や制度設計の見直しも進めていきましょう。大切にしなければならないことは大切に守り、変えるべきは変える。しうして人の暮らしの核となる家族という単位を、守ってきたいと思います。

かつては自動車という強いコンテンツが、世界を席巻し、家電が覇権を握り、モノづくり大国ニッポンでした。今でもそのイメージと強くお持ちの方も多かろうと思います。しかし自動車でも家電でも、日本は世界で急速に競争力を失いつつあります。では、どうするか。

日本は世界の中で最も高齢化が進んでいる国です。それでも国力が急激に落ちるわけでもなく、社会はまだまだ豊かな水準を保てており、このからくりは世界が注目していることでもあります。世界は確実に、そして急激に高齢化の波に飲み込まれていくのですから、日本はその先駆者としてリーダーシップを握ることができる立ち位置にいると、私は思います。介護や老年期医療を世界に誇るソフトコンテンツとしていくことができるのではないかと考えます。

また、日本の農業にも素晴らしい力があります。コメも野菜も果物も、その味のすばらしさに世界はあっと驚いています。

技術やモノづくりだけでなく、日本には世界に勝てるものがまだまだたくさんあるのです。たとえそれが小さな芽であっても、国が大切に育てて世界に羽ばたけるよう、支えていけるようなしくみづくりを、やってまいりましょう。